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編集後記
小澤 俊文
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1総合犬山中央病院消化器内科
pp.1243
発行日 2021年8月25日
Published Date 2021/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403202545
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近年の本誌8月号は,掘り下げるべきテーマを絞ることをせず,暑い夏の季節に気楽に読める内容を目指して企画される経緯がある.今回は“「胃と腸」式 読影問題集”と銘打って,読者に問題を解き進んでいただく内容であり,本誌初の試みである.読者には,早期胃癌研究会で読影者として指名された気持ちになって,各問題に取り組んでいただけるような構成とした.また,“X線ではどこまでわかるか”,“通常内視鏡ではどこまでわかるか”,“拡大観察による診断は何か”,“鑑別すべき疾患は何か”,“総合的にどのように診断するか”など,本誌ならではの思考過程を重視した「考える画像診断」能力を鍛える問題集を目指して企画したつもりだが,本特集号の完成度を読者はどのように評価いただけただろうか.各執筆者には,解説に相当する「診断へのアプローチ」では挙げるべき鑑別診断と,それぞれを否定しうる“根拠”に特に力点を置いて執筆していただいた.結果として答え(=最終診断)が違っていても,研究会や誌面上での読影/診断に根拠ある誤診は大いにすべきである,と言っても乱暴ではないと思う.必ずや読者の血となり肉となるはずだ.
「胃と腸」編集委員を中心に,エキスパートの先生方に問題作成を依頼した.疾患名は特に指定せず各執筆者に委任したものの,最も重要視した「診断過程」については極力統一を図った.小生自身もすべての問題に目を通してみたが,美麗な画像の数々はもちろん,執筆者らの診断課程/進め方もさまざまであり勉強になるだろうと自負している.なお,多彩と言っても,基本となる診断に迫る姿勢(全体から微に入る)はほぼ共通しているものであろう.
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