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編集後記
小澤 俊文
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1佐藤病院消化器内科
pp.1367
発行日 2013年8月25日
Published Date 2013/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403113932
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2008年4月に保険収載された食道ESDはすでに広く行われているが,治療の安全性確立には根治性と合併症低減の2つが担保されなければならない.T1a-LPMまでにとどまる食道癌の転移,再発リスクは極めて低い.一方,T1a-MM以深癌では脈管侵襲陽性やリンパ節転移の頻度が高く外科切除が原則であるが,手術侵襲の大きさや術後合併症,少なくとも50%はリンパ節転移を認めないことから,T1b-SM1癌はER(endoscopic resection)の相対適応となっている.ER後の病理結果を参考に追加治療を決めるが,適応基準もいまだ確立されたものはない.また,広範囲切除を要する症例での狭窄が問題であり,頻回の拡張術は患者に肉体的,経済的負担を負わせる.本特集では,予後の悪い食道表在癌の病理組織学的特徴,現時点における食道表在癌に対するESDの治療成績,pT1b癌に対する種々の治療法の成績の比較,ESD後の狭窄予防対策などの現況を把握し,食道表在癌治療の最先端に迫ることがねらいである.
序説に引き続き,切除後の方針決定に重要な病理学的立場から悪性度の高い食道表在癌について八尾が執筆した.その特徴として,胞巣分化(-),不整胞巣,簇出(+),ly(+)の4因子を挙げ,特に胞巣分化の有無が悪性度評価に有用であり,従来の角化を指標とする分化度は悪性度の評価には意味がないとした.
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