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編集後記
小澤 俊文
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1総合犬山中央病院消化器内科
pp.137
発行日 2018年1月25日
Published Date 2018/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403201272
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病理診断ならびに内視鏡診断の進歩により,従前には発見できなかった胃病変が認識されることになった.その中でも,低異型度胃癌は色調や表面構造の変化に乏しく,通常白色光観察はもちろんNBI(narrow band imaging)など,特殊光による拡大観察を行っても存在診断や境界診断に難渋する場合がある.また,病理組織学的にも異型が弱いため,生検診断を繰り返してもなお確定診断に至らず,結果として病変が進行し,臨床的辛酸を舐めさせられることがある疾患である.それゆえに,本誌でも繰り返し特集を組んで警鐘を鳴らしてきた.
本号では2010年(45巻7号)以来,7年ぶりになるが,腸型ではなく胃型形質を有する低異型度分化型腺癌に限り特集した.その企図は,本病変が生検診断において再生異型腺管や腺窩上皮過形成腺管など非腫瘍との鑑別が困難であるためである.対象病変はN/C比50%以下で核異型に乏しく,HE染色切片と免疫染色にて完全胃型または胃優位型の形質を発現した分化型腺癌とし,狭義の胃底腺型胃癌は除いた.
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