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今月の主題 早期大腸癌内視鏡治療の新展開
トピックス
高齢者に対する早期大腸癌内視鏡治療の適応と限界
Management of Early Colorectal Cancer in the Elderly: Indications and Limitations of Endoscopic Treatment
菅野 伸一
1
,
山野 泰穂
1
,
吉井 新二
1
,
三宅 高和
1
,
風間 友江
1
,
大和田 紗英
1
,
越前 栄次朗
1
,
仲瀬 裕志
1
Shinichi Kanno
1
1札幌医科大学医学部消化器内科学講座
キーワード:
高齢者
,
早期大腸癌
,
内視鏡治療
,
抗血栓療法
Keyword:
高齢者
,
早期大腸癌
,
内視鏡治療
,
抗血栓療法
pp.1107-1111
発行日 2021年7月25日
Published Date 2021/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403202514
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はじめに
本邦では65歳以上の人口の増加により高齢化率は28.4%となり,75歳以上人口は1,800万人を超え,総人口の14.7%を占める社会となった1).医療において高齢者・超高齢者と区分するかの定義はいまだ議論されているが,近年の老年化現象に関する種々のデータの経年的変化の検討から従来の65歳以上ではなく75歳以上を高齢者の新たな定義とすることが提案されている2).
さて,早期大腸癌に対する内視鏡的粘膜切除術(endoscopic mucosal resection ; EMR)や内視鏡的粘膜下層剝離術(endoscopic submucosal dissection ; ESD)といった内視鏡治療はさまざまな施設で数多く施行されているが,大腸ESDが超高齢者においても安全に施行できたという報告がなされるように3)4),治療対象者においても高齢者が増加している実感がある.一般的には高齢者ほど循環器疾患を中心とした併存疾患の有病率が高く,また抗血栓薬服薬者の比率も高いが,内視鏡治療の適応の側面から年齢を加味した指針は定まっておらず,現場の内視鏡医が個々の症例において治療の是非を判断している実態がある.
このような状況において,高齢者に対する早期大腸癌の治療の検討に関して文献検索を行うと,原著論文での報告は少なく,医学中央雑誌データベースで「高齢者 ; 早期大腸癌」で検索し得たものは5件(会議録を除く)であり,海外での報告はほとんどない.今回は現状で得られた情報の中で文献的考察を行った.
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