増刊号 消化管診断・治療手技のすべて2021
序文
松本 主之
1
1岩手医科大学医学部内科学講座消化器内科消化管分野
pp.527
発行日 2021年5月24日
Published Date 2021/5/24
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403202314
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「胃と腸」誌の専門分野である消化管は口腔から肛門に至る長大な管腔であり,多彩な疾病が発生する臓器である.臨床医学においては,病歴,身体所見,検査成績を把握することが基本であるが,消化管疾患は非特異的な症状を契機に診断されることが多い.事実,消化管腫瘍の大部分は無症状のまま診断されており,これはスクリーニング検査の精度が向上したためと考えられている.このように,消化管疾患を診断するためには適切な検査法の選択と,得られた所見や生検結果を正確に分析する能力が要求される.
さらに,消化管疾患においては内視鏡を中心とした治療手技が数多く開発されてきた.中でも,粘膜下層に対する内視鏡的アプローチはこの領域の最近の話題であり,斬新な治療法が次々と開発・報告されている.したがって,新旧治療法の特徴を理解したうえで適切に選択することも消化管専門医の任務と言える.そこで,今回の増刊号は,消化管疾患の形態診断と治療について,古典的手法から最新の手技まで網羅的に取り上げ,簡潔に解説することを目的に企画された.加えて,X線・内視鏡検査所見の解析に必須である解剖学的特徴についても解説している.
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