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臨床経過
患者は50歳代,女性.高血圧で10年前から加療中であった(カンデサルタン,アムロジピンを服薬).200X−8年,下痢,粘血便,腹痛を自覚するようになり,徐々に増強したため近医を受診.大腸内視鏡検査で全大腸炎型の潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis ; UC)と診断された.5-アミノサリチル酸製剤で症状は改善するも効果は十分でなく,経口ステロイド薬の投与を受け臨床的寛解を得た.しかし,ステロイド漸減中に再燃を認め,血球成分除去療法,免疫調整薬の投与などを受けるも軽度の活動性は持続し,軽症ではあるが慢性持続型として経過していた.
200X年に経過観察目的に大腸内視鏡検査を施行した.左側結腸のハウストラは消失し,腸管は短縮,鉛管状を呈しており,粘膜混濁,血管透見像の低下を認めた(Fig.1).S状結腸近位側には浅く広い陥凹が多発しており(Fig.2a),インジゴカルミン色素撒布で陥凹面はより明瞭となった(Fig.2b).また,辺縁には炎症性ポリープを認めた(Fig.2a,b).陥凹面は比較的平滑であったが脆弱であり,スコープの接触や送気,送水によっても出血が容易にみられた(Fig.2c,d).なお,陥凹間の介在粘膜には,一部血管透見像が観察可能であった.NBI(narrow band imaging)拡大観察では,介在粘膜の大部分におけるvessel patternは,血管径は拡張しているもののnetworkを形成しほぼ均一であった.しかし,太い異常血管やAVA(avascular area)も散見された(Fig.2e).陥凹部のsurface patternは観察困難であり,口径不同の異常血管の断片化,途絶が観察された(Fig.2f).
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