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編集後記
蔵原 晃一
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1松山赤十字病院胃腸センター
pp.1078-1079
発行日 2019年6月25日
Published Date 2019/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403201796
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A型胃炎は成因から自己免疫性胃炎(autoimmune gastritis ; AIG)とも呼ばれ,胃体部優位の萎縮を特徴とし,無酸症と高ガストリン血症を呈し,悪性貧血の原因疾患として,また,胃NET(neuroendocrine cell tumor)と胃癌の発生母地として知られている.本邦ではまれな疾患と考えられてきたが,近年,A型胃炎の頻度は,内視鏡検診受診者の0.49%,ABC検診D群の25%などと報告され,従来の報告よりもはるかに高頻度であることが判明しつつある.一方,その病態や実態は不明な点が多く,高ガストリン血症の定義や抗胃壁細胞抗体陽性を必須とするかなど,明確な診断基準は依然確立されていない.その内視鏡所見はいわゆる逆萎縮パターンが特徴的とされるが,AIGの病期,H. pylori感染の有無により多彩な像を呈するなど,「木村・竹本分類」に当てはまらない胃炎として,確定診断に至っていない症例が潜在している可能性がある.
本特集号では,「胃と腸」誌初のA型胃炎特集号として,昨今のH. pylori胃炎の減少とともにクローズアップされつつあるA型胃炎に関する最新の知見を提供し,診断基準の確立,拾い上げ診断の向上に寄与することを目標とした.企画は小澤・海崎・蔵原の3名が担当した.自施設でA型胃炎症例を集積し,精力的に学会・論文発表している先生方に,序説,主題とノートの執筆を依頼した.
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