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今月の主題 大腸小・微小病変に対するcold polypectomyの意義と課題
主題
cold polypectomyの意義と課題─私はこう考える:慎重の立場から
Significance and Problem of Cold Polypectomy: From the Prudent Viewpoint
岡 志郎
1
,
田中 信治
2
Shiro Oka
1
1広島大学病院消化器・代謝内科
2広島大学病院内視鏡診療科
キーワード:
cold polypectomy
,
semiclean colon
,
大腸微小癌
Keyword:
cold polypectomy
,
semiclean colon
,
大腸微小癌
pp.1600-1602
発行日 2017年11月25日
Published Date 2017/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403201223
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cold polypectomyの問題点
adenoma-carcinoma sequence1)の観点やNational Polyp Study2)の結果から,大腸からすべての腫瘍性病変を摘除した状態(clean colon)にすることで,大腸癌発生を抑制し死亡率を低下させる試みが報告されている.このような背景の下,本邦でも高周波電流を使用しないcold polypectomyが,径5mm以下の微小腫瘍性ポリープの切除法として普及しつつある.
本法の利点は,高周波凝固装置を使用しないため,簡便で後出血や過凝固による穿孔のリスクが軽減されることにある3).ただし,病変径や肉眼形態によっては,局所遺残や後出血などの問題が完全に解決されているとは言えない.また,手技的に不完全切除率が高くなることは避けられず4),従来の高周波電流を用いたhot biopsyやhot snare polypectomyに比べてburning effectがないため,局所遺残のリスクが高くなることも懸念される.局所遺残を生じても,低異型度病変であるため問題ないとの意見もあるが,実際には切除後の病理組織検査で初めて癌と診断されるケースもあり(Fig.1),患者に不利益を生ずるケースが増える可能性が危惧される.
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