増刊号 図説「胃と腸」所見用語集2017
病理
粘膜下腫瘍様隆起(submucosal tumor-like protrusion)
海崎 泰治
1
1福井県立病院臨床病理科
キーワード:
粘膜下腫瘍
,
SMT様隆起
Keyword:
粘膜下腫瘍
,
SMT様隆起
pp.682
発行日 2017年5月24日
Published Date 2017/5/24
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403201027
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定義
粘膜下腫瘍(submucosal tumor ; SMT)は,“主病変が周囲粘膜と同様の粘膜に覆われて半球状または球状に管内に突出した病変を総称する臨床的名称”であり1),腫瘍の病理学的疾患単位ではない.本邦では,1958年に胃粘膜下腫瘍において最初にこの臨床診断名が用いられ,1960年代前半までは胃の良性非上皮性腫瘍を総括的に診断する用語として用いられていた.その後,迷入膵や胃囊胞などの上皮性の病変や,悪性リンパ腫や当時の平滑筋肉腫などの悪性例なども“粘膜下腫瘍”に含まれることが知られるところとなった.よって,腫瘍という名称を用いるが真の新生物のみではなく炎症性腫瘤や囊胞などをも含む疾患の総称ということになり,前述の所見を有する病変は正確には“粘膜下腫瘍様隆起”の名称が用いられるべきである.
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