増刊号 図説「胃と腸」所見用語集2017
画像所見〔胃〕
敷石状胃粘膜(cobblestone appearance)
春間 賢
1
,
高張 康介
2
1川崎医科大学総合医療センター総合内科2
2公立みつぎ総合病院内科
キーワード:
もこもこ胃炎
,
肥厚性胃炎
,
胃底腺ポリープ
Keyword:
もこもこ胃炎
,
肥厚性胃炎
,
胃底腺ポリープ
pp.578
発行日 2017年5月24日
Published Date 2017/5/24
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403200929
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定義
消化管粘膜が敷石状に見える所見は,Crohn病の消化管病変の特徴的な変化で,診断基準の一つになっている.縦走潰瘍に取り囲まれた浮腫を伴う非潰瘍粘膜が4〜7mmの半球状隆起の集合となり,丸い石を敷き詰めたように見える所見や,時に,炎症性ポリポーシスも敷石状粘膜に含まれる.最近,プロトンポンプ阻害薬(proton pump inhibitor ; PPI)を中心とした胃酸分泌抑制薬を長期使用する機会が増加し,これまでに経験したことのない胃粘膜変化を経験するようになった.敷石状胃粘膜もその一つで,胃体部に均一な小隆起が多発する変化で,粘膜がもこもこして見えることから,当初は,“もこもこ胃炎”と筆者らは呼んでいたが,組織学的には炎症は伴わないので,敷石状胃粘膜が形態学的にもふさわしい1)2).
敷石状胃粘膜は,正面に見える胃体下部前壁や大彎を見下ろしたとき,胃角部から反転で胃体部前壁を見上げたときによく観察できる.通常,粘膜ひだの増加を伴っており,胃体部粘膜の萎縮のない症例に多く認められるため3),多くは胃体下部小彎にも粘膜ひだが認められる.当初は,ひだの過形成変化と考えたが,よく観察すると,ひだの幅が太くなっていることは少なく,ひだの数の増加と蛇行,さらに,敷石状の変化が粘膜ひだにも認められることから,一見,Crohn病で認められる竹の節様に見えるが,節に見える部分はくぼんでおり,連なった蓮根様で,“lotus root sign”と名付けている(Fig. 1).
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