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増刊号 図説「胃と腸」画像診断用語集2022
画像所見
胃:白色光通常観察
敷石状胃粘膜
cobblestone-like mucosa in the stomach
加藤 元嗣
1
,
久保 公利
1
1国立病院機構函館病院消化器科
pp.541
発行日 2022年5月24日
Published Date 2022/5/24
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403202744
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敷石状胃粘膜は,胃底腺粘膜に出現する粘膜変化で,粘膜下腫瘍(submucosal tumor ; SMT)様の多数の隆起性変化があたかも石を敷き詰めたように見えることからその名がついた1)(Fig.1).皺襞と皺襞の間に介在する粘膜を空気でよく伸展させると,周囲粘膜と同色調の顆粒状隆起の存在が観察しやすい.プロトンポンプ阻害薬(proton pump inhibitor ; PPI)やカリウムイオン競合型酸阻害薬(potassium-competitive acid blocker ; P-CAB)服用者に認められる胃粘膜所見である.
近年,PPIやP-CAB投与による胃底腺の形態変化が知られるようになった.これは,病理組織学的には胃底腺粘膜での壁細胞数の増加と腫大が起こると腺腔側にキザギザに突出して,内腔が拡張した胃底腺に変化する.壁細胞の過形成や空胞化による内腔の突出した状態はparietal cell protrusion,胃底腺の囊胞状拡張はoxyntic gland dilatationと呼ばれている(Fig.2).これらの組織学的な変化が胃粘膜隆起の原因と考えられている.PPIとP-CABでは酸分泌抑制の作用機序が違うが,同じような胃底腺の形態変化が起きていることから,プロトンポンプへの直接作用が関与していると推測される2).
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