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増刊号 図説「胃と腸」画像診断用語集2022
画像所見
食道
上皮下進展(Barrett食道腺癌)
subepithelial extension in Barrett's esophageal adenocarcinoma
平澤 大
1
1仙台厚生病院消化器内科
pp.527
発行日 2022年5月24日
Published Date 2022/5/24
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403202731
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Barrett食道腺癌がSCJ(squamocolumnar junction)に接して存在している場合,Barrett食道腺癌が扁平上皮下を進展していること(Barrett's cancer under the squamous epithelium ; BCUS)がある.BCUSの頻度はBarrett食道表在癌の36〜40%,SCJに接する病変に限定すると43〜90%と高頻度であるため,その内視鏡診断は重要である.しかし,BCUS部では癌が表層に露出していないため,内視鏡検査による質的および範囲診断が困難な場合がある1).
Barrett食道腺癌を覆っている扁平上皮が薄い場合は,扁平上皮下にある腺構造や血管が認識できたり,NBIやBLIなどの狭帯域観察では淡い茶色調の変化を呈したりする場合がある(Fig.1a)2).Barrett食道腺癌を覆っている扁平上皮が厚くなると,これらの所見が捉えられず,内視鏡診断が困難になる.そこで,Barrett食道腺癌と隣接する扁平上皮領域に1.5%酢酸を撒布すると,BCUSでは白い小孔や白斑,溝様の構造(small white sign ; SWS)が観察される(Fig.1b)1)2).小孔はBCUSが産生する粘液の排出機構と考えられる.白斑は排出された粘液が酢酸により変性し視認化されたもの,溝様の構造は扁平上皮下の腺構造を反映したものと考えられている(Fig.1c,d)2).これらの所見を捉えることでBCUSの進展範囲を正確に診断することが可能となる.
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