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編集後記
大倉 康男
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1PCL JAPAN 病理・細胞診センター
pp.857
発行日 2016年5月25日
Published Date 2016/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403200657
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本誌47巻11号で,「Helicobacter pylori除菌後の胃癌」というタイトルで特集が組まれている.Helicobacter pylori除菌後の胃癌の特徴が捉えられはじめた時期の企画である.その後,除菌後発見胃癌の臨床病理学的特徴が検討され,発見が難しい胃癌が少なくないことが明らかにされてきている.本特集ではそのような除菌後発見胃癌の内視鏡的特徴をテーマとして企画している.八木の序説にあるように,除菌後発見胃癌の形態学的特徴を内視鏡的ならびに病理組織学的に明らかにすることを目的にしている.
除菌後発見胃癌の臨床的特徴は,鎌田らが春間らの研究を推し進め,除菌後10年未満と10年以上を比較して示している.本特集の他の研究者も同様の結果を述べているが,“20mm以下,体中部から下部,陥凹型,分化型癌”がキーワードである.多数の症例が例示されており,診断の参考になるものである.除菌後発見胃癌発生の危険因子として,八田らは喫煙が総量依存的に関係していると報告している.また,DNAメチル化異常の点から,除菌後発見胃癌のリスク層別化を図ろうとする中島らの論文は興味深いものである.さまざまな観点から除菌後発見胃癌のリスク因子が検討されていることを知ることができ,勉強になった.
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