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編集後記
大倉 康男
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1杏林大学医学部病理学
pp.295
発行日 2010年2月25日
Published Date 2010/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403101861
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内視鏡機器の進歩により,上部消化管の対象領域は消化管を逸脱し,中・下咽頭の表在癌に目が向けられつつある.本誌では2005年の第40巻9号に「表在性の中・下咽頭癌」として初めて取り上げられている.同号のタイトルが表在癌とされていないところにこの領域の大きな問題点があった.編集後記で小山恒男が“咽頭にも早期癌があるはずだ.幻の咽頭早期癌発見へ向け,内視鏡医の挑戦が始まった”と書いているが,その熱意が実を結びつつあることを本号では十分に読み取ることができる.その結果,本号ではタイトルに表在癌と明記されたのである.より多くの症例数に基づいた最新の診断と治療が取り上げられており,この領域に関心のある先生方には有用な1冊である.
本号では,第40巻9号の基本的な事項を踏まえたうえで,門馬ら,井上らが内視鏡診断の具体的なところを解説している.また,川田らはスクリーニングにおける経鼻内視鏡の有用性を示している.一方,治療については,耳鼻咽喉科の立場からの治療方針を渡邉らが多数例をもとにして述べている.内視鏡治療の具体的な手技については,土田らがEMR(endoscopic mucosal resection)を,小山らがESD(endoscopic submucosal dissection)を,さらには彎曲型喉頭鏡を用いた良好な視野で行うELPS(endoscopic laryngo pharyngeal surgery)を川久保らが解説している.いずれも臨床の場で役立つ論文である.
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