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編集後記
大倉 康男
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1杏林大学医学部病理学教室
pp.815
発行日 2011年5月24日
Published Date 2011/5/24
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403102245
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早期食道癌の診断学が変革したのは1990年前後であり,本誌増刊号「早期食道癌1995」は当時の診断学を集大成したものであった.早期食道癌の肉眼型と深達度の関係が明らかにされるようになり,診断の基本が詳細に示されている.食道癌の診断に携わるものにはバイブルとも言える1冊であったが,改めて開いてみると治療に関する論文が極めて少なかったことに驚かされる.今回,増刊号「早期胃癌2009」,「早期大腸癌2010」に引き続き,「食道表在癌2011」が企画されたが,この16年間で早期食道癌の診断,治療がさらに進歩したことが示されている.
さて,「食道表在癌2011」の内容であるが,まず気がつくことは,タイトルが早期癌から表在癌に変わった点である.食道早期癌の定義は1999年に変更されているが,粘膜癌だけでなく,粘膜下層癌を含めて診断・治療を論じなくてはならないことは序説で吉田先生が述べているとおりである.典型症例をみると,X線画像が少なくなり,拡大内視鏡やNBI(narrow band imaging)が示されるものが多く,さらに大半は内視鏡的切除検体である.「早期食道癌1995」のころと診断,治療が大きく変わったことを感じさせられる.
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