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はじめに
アミロイドーシスは,線維構造をもつ特異な蛋白であるアミロイド物質が諸臓器に沈着することによって,臓器の機能障害を来す疾患群である.その沈着様式によって,全身性と限局性のふたつに大別される.消化管への沈着は主に全身性アミロイドーシスにおいて認められ,消化管運動障害や粘膜血流障害を生じるために,さまざまな腹部症状を生じる.過去に,本誌で消化管アミロイドーシスの特集号が企画されたのは,22巻11号(1987年)「消化管のアミロイドーシス(1)」と23巻2号(1988年)「消化管のアミロイドーシス(2)」においてである.当時用いられていたアミロイドーシスの分類は厚生省調査研究班(1975年)のもので,(1) 原発性アミロイドーシス,(2) 多発性骨髄腫に合併するアミロイドーシス,(3) 続発性アミロイドーシス,(4) 分類困難なアミロイドーシス,(5) 遺伝性アミロイドーシス,(6) 限局性アミロイドーシスに分類されていた.現在,アミロイドーシスの分類は改訂が加えられ,沈着するアミロイド蛋白の種類によって病型分類されている(Table 1).これらのうち,消化管に沈着するアミロイド蛋白はAL(amyloid-light chain)型,AA(amyloid A)型,TTR(transthyretin)型,Aβ2M(amyloid β2 microglobulin)型の4種類と言われている(Table 2). 過去に本誌で提示された消化管アミロイドーシス症例は,アミロイド蛋白の種類が記載されていないものも少なからずあるが,記載されている症例はすべてAA型とAL型であった.これについては現在でも同様で,消化管アミロイドーシスにおいて,沈着しているアミロイド蛋白の種類は圧倒的にAA型とAL型であり,他の型であるATTR(amyloidgenic transthyretin)やAβ2Mが沈着した消化管アミロイドーシスの症例報告はほとんどみられないのが現状である.
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