特集 図説 胃と腸用語集2012
病理
簇出(tumor budding/sprouting)
上野 秀樹
1
,
長谷 和生
1
1防衛医科大学校外科学講座
pp.833
発行日 2012年5月24日
Published Date 2012/5/24
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403113404
- 有料閲覧
- 文献概要
- 参考文献
簇出(budding)は大腸癌において,癌細胞が個々に,あるいは小胞巣を形成しつつ散在性に間質内に浸潤する組織所見であり(Fig. 1),固形癌の浸潤の重要なprocessの1つである,de-differentiationとdissociationの形態学的表現と位置づけることも可能である.分化型腺癌の腫瘍表層や中心部間質に出現することはまれであり,基本的に浸潤先進部に出現する.
簇出は1980年代以降,治療方針決定のための指標として,まず本邦の臨床家により注目された病理組織所見である1)2).近年になり本邦のみならず欧米でもその意義が認識されるに至ったが,その過程には名称に起因する概念上の混乱が存在した.
Copyright © 2012, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.