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DR(desmoplastic reaction)とは癌細胞が浸潤する際にみられる,間質で線維芽細胞などが増生する状態を指し1),大腸癌では粘膜下層に癌が浸潤するとみられるといわれている2).大腸癌研究会では“DRに関する研究プロジェクト”を発足し,DR判定基準案として以下の4点を挙げている.(1) 癌として妥当な組織が存在する,(2) 浸潤性がある場合にはそれをもって陽性としない,(3) 炎症細胞浸潤はDRと判定しない,少なくとも領域性をもった膠原線維の増生と線維芽細胞が観察できるときに陽性と判定する,(4) 特染は用いないでHE染色で判定する.種々の増殖因子やdesmin(陰性)α-SMA(陽性)などは参考資料とするが,それにとらわれない.そのうえで,pSM2(浸潤距離1,000μm以上)を診断する簡便な手段の1つとして,生検標本におけるDRを評価することの有用性について前向き多施設間検討を行った.その結果,DR陽性のpSM2に対する感度68.5%,特異度92.6%という結果となった.つまり,生検標本にDRを認めた場合pSM2と言えるという結果が得られた.ただし,DRの診断精度を高めるには,病変の深達度を最も表していると思われる部位から生検が行われること,DRの診断基準を病理医間で標準化すること,などが課題である.
try(ちょっと内視鏡治療をやって調べてみる)and slip(ちょっとした診断間違い)で追加手術になることを防ぐには,内視鏡治療ができないと診断したとき,生検を施行しDRを確認するが,その後の治療選択の正しさを術前に確認できる簡便な手段である.ただし,有茎性病変には有用ではないことが多いことも知っておく必要がある.
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