原著
Desmoplastic Trichoepithelioma
北島 淳一
1
,
庄司 昭伸
1
,
古川 雅祥
1
,
濱田 稔夫
1
Jun-ichi KITAJIMA
1
,
Akinobu SHOJI
1
,
Masayoshi FURUKAWA
1
,
Toshio HAMADA
1
1大阪市立大学医学部皮膚科教室
1Department of Dermatology, Osaka City University Medical School
pp.465-469
発行日 1983年5月1日
Published Date 1983/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412202845
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要約 48歳,女の右頤部に生じたdesmoplastic trichoepitheliomaの1例を報告した.臨床的には境界鮮明なほぼ正常皮膚色,弾性硬の皮面より僅かに隆起した小円形局面で,辺縁には淡黄白色の小丘疹が環状に配列して堤防状に隆起している.組織学的には真皮内に多数の角質嚢腫,基底細胞様細胞の索状配列,結合織形成の強い間質がみられ,異物肉芽腫および石灰化もみられた.また一部に脂腺分化を思わせる所見や,毛幹様構造物もみられた.以上より自験例はBrownstein & Shapiroの提唱したdesmoplastic trichoepitheliomaのほぼ典型例と考えられた.本症は臨床病理組織学的に明らかに1つのentityを有するものであり,solitary trichoepitheliornaとは別個に取り扱われるべきであるが,その毛包への分化度はtrichoepitheliomaとほぼ同等であると考えられた,その中でも自験例はやや分化の高い位置にあると考えられた.
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