原著
Desmoplastic Nevus
木村 俊次
1
,
禾 紀子
1
Shunji KIMURA
1
,
Noriko NOGI
1
1国家公務員等共済組合連合会立川病院皮膚科
1Division of Dermatology, Kyosai Tachikawa Hospital
pp.391-395
発行日 1986年5月1日
Published Date 1986/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412203449
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17歳,女子.3年来右手背に結節出現し,各種治療を受けるも漸次増大.現症:右手背第4MP関節部に1.2×0.9.cm,高さ0.5cm,赤褐色,硬,一部萎縮性瘢痕を有するが全体として表面平滑なドーム状結節が単発,自覚症なし.組織所見:表皮は不規則に肥厚し,表皮真皮境界部に紡錘形の母斑細胞より成る大小の胞巣が散在.同様の胞巣は表皮直下から真皮下層にかけて多数存在し,胞巣間には肥厚・均質化した膠原線維束が目立つ.母斑細胞は上層でのみ一部かなり多量のメラニン色素を有する.間質に弾力線維は乏しい.胞巣辺縁部にはマスト細胞の軽度増加をみる.瘢痕部は表皮菲薄化と真皮上層の軽度の線維化とを示した.本例は若年性黒色腫のうち間質の線維化傾向の高度のものに対してBarrらが命名したdesmoplastic nevusに一致すると思われるが,この概念の妥当性を中心に若干の検討を加えた.
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