特集 図説 胃と腸用語集2012
疾患〔腸〕
microscopic colitis
平田 一郎
1
1藤田保健衛生大学消化管内科
キーワード:
膠原線維性大腸炎
,
collagenous colitis
,
lymphocytic colitis
Keyword:
膠原線維性大腸炎
,
collagenous colitis
,
lymphocytic colitis
pp.789-790
発行日 2012年5月24日
Published Date 2012/5/24
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403113366
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1976年にLindström1)は,慢性下痢と腹痛を呈し,注腸や直腸鏡で大腸粘膜に肉眼的異常を認めず,直腸粘膜生検にて被蓋上皮基底膜直下に特徴的な厚い膠原線維束を認めた患者に対してCC(collagenous colitis)という疾患概念を最初に提唱した.一方,1980年にReadら2)は原因不明の慢性下痢を主徴とし,注腸やS状結腸鏡で大腸粘膜に異常を認めず,直腸粘膜生検で軽度の炎症性細胞浸潤がみられるものに対しMC(microscopic colitis)という疾患名を提唱した.1989年にLazenbyら3)は,ReadらのMCは上皮間リンパ球の著明な増加が特徴で上皮下の膠原線維束肥厚を認めないことから,MCの呼称をLC(lymphocytic colitis)に変更することを提唱し,LCとCCは非常に類似した病態を呈するが鑑別可能な類縁疾患であると考えた.その後,ReadらのMCという用語はLCとCCを包括する総称として用いられるようになった.
欧米におけるMCは,罹患率は約10.0(人口10万人対),平均発症年齢は60歳代後半,男女比は約1 : 3である4).本邦におけるMCの報告数は極めて少なく,CCは2011年までに182例の報告しかないが,その平均発症年齢や男女比は欧米とほぼ同じである5).また,本邦ではLCに関する報告はほとんど認められない.
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