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編集後記
高田 洋
pp.682
発行日 1977年5月25日
Published Date 1977/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403112643
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予防・治療医学の進歩は高齢化社会を招来し,人口の老齢化傾向は今後も確実に強まるものと考えられる,全身性変化と共に消化管においても加齢による変化は当然惹起されるわけであり,その上に病的な状態が加味されるため病像はさらに複雑となる.そこで高齢者の胃にみられる形態学的変化・生理的変化を理解し,そこに発生する胃病変の特徴を正確に把握してこそ初めて正確な診断・適切な治療が可能となるわけである.臨床医学の分野に於ても高齢者の治療・健康管理は対象の増加と共にますます重要な課題となると考えられる.こうしたバックグラウンドの上に本号では高齢者の胃病変が特集された.
まず基礎的な事項として形態面から加齢と消化管の変化を論じ,ついで広い視野にたって疫学の立場から検討を加え,さらに形態学的特徴を明らかにするために90%以上に及ぶ高率の剖検例を資料としてこの問題を論じてもらった.一方臨床の面から日常の診療に直結した胃潰瘍・ポリープ・癌をとりあげ高齢者胃病変の特徴について論じてもらった.もちろん高齢者の胃病変を青壮年者のそれと比較した場合,その特徴に関しては過去にも数多くのすぐれた業績があり既に定説になっている部分も少なくはない.しかしここに敢えてこのテーマを取りあげた意図は今一度多角的にこの問題を論じ高齢者の胃病変の特徴をうきぼりにして診断・治療の実際面に役立てたいと考えたためである.
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