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編集後記
高田 洋
pp.552
発行日 1979年4月25日
Published Date 1979/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403107666
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本号は恒例の主題をもうけない症例・研究特集号である.7編の早期胃癌研究会提出症例,6編の投稿症例と1編の研究論文より成っている.それぞれの症例は研究会或いは編集会議で厳しいディスカッションや討議を経たものだけに貴重なものばかりである.従来の特集号に比べ本号の症例論文は全く多種・多様で玩具箱をひっくり返したような感じさえ与える.子供がその中から宝物や気に入った品を一心に探そうとする時の目の輝きとわくわくするような期待感をもって全編を通読した.
掲載された症例のあるものはわれわれが日常遭遇する病変であり,またあるものは一医師としての生涯に一例経験するかしないかといった稀な疾病もある.前者の場合は読者にとっては直接明日の診療の資となり,また診断に対する厳しい姿勢の必要性を再認識させ,後者の場合は末経験の疾病をも我々により身近なものとして認識させてくれる.こうした意味あいから症例の一例一例が味わい深いものである.一例の経験を大切にして,それを積み重ね,そこから問題点を探り或いは概念の確立を求めるのが臨床医の真の姿であろう.そのために個々の症例について出来得る限り厳格な検討を加え,或いは反省する地道な努力を私は大切にしたい.
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