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編集後記
熊倉 賢二
pp.1397
発行日 1975年10月25日
Published Date 1975/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403112268
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今月は症例・研究特集であるが,一読して1つの傾向がみられる.まず,ⅢないしはⅡbの症例が数例もあるということである.やはりむずかしいのかといった感じとともに,もっと何とかならないのかといった思いもする.偶然を必然にするためには,どうしたらよいのであろうか.生検が主力になって診断がすすめられているなかに,細胞診がきっかけとなった症例が目立つ.Ⅱbの診断には,はやくから細胞診に期待がかけられていたのに,このような症例はあまりにも少なすぎる.
ところで,レントゲンはどうなのか.9月号の座談会でも明らかなように,遠隔操作のTV装置が全国的にあまりにも普及したために,X線写真の鮮鋭度は極端にわるくなってしまった.暗室透視でも同じ傾向である.そのため,長い年月をかけて発展してきた胃の微細病変のX線診断が著しく後退してしまった.各症例をみて,果してどんなX線装置でとった写真なのだろうかとも考えてみたりする.被写体とフィルム間の距離が大きくなったためにおきた幾何学的ボケによると,原因がはっきりわかっているのだから,元へもどしてもらわねば困る.拡大撮影を取り上げる前に問題にすべきである.
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