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本書はその初版は1965年であるがその後消化器病学の著るしい進歩に応じて改版の機が熟したとして,9年後大きく改訂されて第二版が出されたものである.著者のNaishは英国Bristol大学内科のLecturer,Readは同じく内科の教授であり,その他,消化器外科および放射線の医師の2名が部分発に執筆を担当している.本文は437頁,大きさは22×14cmで消化器病学のまとまった一本としては,従来の他書に比して可成り小さい.Basic Gastroenterologyと名づけてあるが,どの程度の内容が盛られているのだろうかというのが本書を手にした時の感じであったが,今,読み終えてみると,非常に豊富な内容を盛ったParenchymatousな本であるという感嘆を禁じえない.26章にわたる各章は実に簡潔明快に纒められておりその中に殆どの消化器疾患名は網羅されている.新しい知識もまず遺漏なく収められている.広汎な消化器病学の中から本質的(basic)に必要なものをわかりやすく整理して小柄にまとめたという本である.理解や記憶しやすい様に各疾患の特徴等が図示ないし表示されている.各章末には,簡潔明快にまとめた為の親切として更に精しくしらべたい場合の参考文献をFurther Readingとして少なからずあげている.少し難を言うと,簡潔さを旨とする為にか,まだ論議のあるものにやや独断的な決論を下している点が1,2みとめられたが,此の本の性格上,冗慢さをはぶくために止むを得ないのかもしれない.卒前の学生が消化器病学の知識の整理をするのによい本であり,学生のみでなく消化器専門医や学生を教える立場のものもそれぞれの立場で知識を整理する為に一読するに価する好著と思う.もっともX線や内視鏡診断学は日本の好著に劣ることはいなめないところであろう.
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