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書評「Die Angiographie bei Dünndarm und Dickdarmerkrankungen」
佐々木 常雄
1
1名古屋大学医学部放射線
pp.346
発行日 1975年3月25日
Published Date 1975/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403112236
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著者はスイス・ベルンのInselspitalの新進の放射線専門医(診断)で,X線診断の専門家である.自験例225例を中心としてベルン大学放射線科(Prof. Fuchs),ルンド大学放射線科(Prof. Olsson及びBoijsen)の資料も参照して広く研究し,小腸および大腸の診断について新しい情報を提供し,また新しい検査手技について簡単にまとめている通読しやすい良書である.
小腸ならびに大腸のX線検査は従来から腹部単純撮影,バリウム造影検査により行なわれてきたが,著者はここに新しく選択的血管造影法を導入し,小腸ならびに大腸の血管を支配している上腸間膜動脈ならびに下腸間膜動脈を選択的に造影した.対象とする症例はこれら血管系に起因するものや,二次的に血管系に影響を及ぼすものであり,次のようなものである.i)急性循環障害すなわち腸管虚血症,腸間膜動脈硬塞など,ii)腸出血症,iii)炎症性腸疾患すなわちCrohn氏病,潰瘍性大腸炎,iv)腫瘍性腸疾患すなわち良性腫瘍―腺腫,筋腫,脂肪腫,線維腫,血管腫など.悪性腫瘍―癌腫,肉腫,リンパ肉腫などである.さらに病理解剖所見との関連,血管造影所見の読影のほか,病態生理学的解説を加えて分り易く記述している.この症例解説に先だって正常な血管解剖について模式的に説明し,実際の症例の読影を容易にしている.
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