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Prognosis in Intestinal-Type and Diffuse Gastric Carcinoma with Special Reference to the Effect of the Stomal Reaction: M.V. Inberg, P. Lauren, J. Vuori, S.J. Viikari (Avta. Chir. Scand. 139: 273~278, 1973)
1946年から1965年までの20年間にTurkuの大学中央病院で1963例の胃がんが診断された.このうち十分な病理組織学的知見の得られたのは579例である.Laurén分類による腸上皮型胃がんの頻度は55.8%,び漫型胃がんは,33.9%だった.éによれば,腸上皮型胃がんは,男子に多く,患者の平均年齢は高い.一方40歳以下の胃がんの多くは,び漫型で,60歳以上では腸上皮型が多くなり,び漫型は減少する.種々の文献からも,この両型が,原因的に異なること,そして病理学的にも明かに異種のものであることが推察される腸上皮型の前がん病変は,慢性胃炎と腸上皮化生だが,び漫型では不明である.手術に関して,び漫型では手術不能例がより多いとの結果は出てこないが,治療手術の行われたグループでは,5生率は,び漫型で明らかに低い.このシリーズでは,腸上皮型で31.1%,び漫型で21.7%の5生率を示した.腸上皮型の組織学的分化度と予後の間に有意の相関は認められなかった.境界明瞭な腫瘍は,常に腸上皮型で,この種のものの予後は,境界不明瞭なものより良好だった.粘液性がんの予後は,腸上皮型の中で最も良いが,び漫性中の粘液性がんの予後は,不良だった.腸上皮型での5年生存は,筋層までの浸潤病変では50%,筋層を貫通したものでは15.8%だった.次に間質反応と予後について言及している.び漫型では,強い線維増生と軽度の細胞浸潤を特徴としている.一方腸上皮型では,もっと強い細胞反応をしばしば認める.高度の細胞反応を示す腫瘍の5生率は40.4%,中等度では25.0%,軽度のものでは20.5%だった.線維性間質反応と5年生存率間には関連を見出さなかった.以上より全般的に,び漫型胃がんは,腸上皮型胃がんに比して,生物学的により一層悪性と考えられる.胃がんで予後関連因子を評価するに,Laurénの腸上皮型,び漫型に分けると都合がよい.このことはStoutやDaileも,他の組織学的分類では,こうした関連を見出すことは不可能だったとのべている.
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