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文献紹介「Radical Surgery for Gastric Carcinoma」
相馬
1
1東大分院外科
pp.209
発行日 1966年5月25日
Published Date 1966/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403111990
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この論文は,1947年以来一部の外科医によって提唱された胃癌の根治手術としてのtotal Gastrectomyについて著者の経験とその批判および胃癌治療に対する今後の方向を論じたものである.
totalは理論的には正しいことは,次のような事実が証明する.すなわち2~3の切片によって断端には癌残存がなく根治手術と考えられた36例の切除胃について10ケの切片で再検索すると,中16例に癌残存をみとめた.したがって腫瘍から4~5cmの余裕で切除すると小彎自体が15~16cmであるので高位の胃癌ではtotalより方法はない.そこで著者は,10年間に経験した137例の胃癌の中任意の46例にtotalを施行した.術式の内訳は,食道空腸吻合42例(Roux-en-Y9例を含む)食道・十二指腸吻合4(interposition3例を含む)である.46例中2例は直接死,44例は一応退院した,5年生存例は11例である.合併症として問題になるのは,ダンピングと貧血であるが,11例の生存例の中4例は,高度のダンピングから生存していることを後悔するほどである.貧血は,最初低血素性から漸次Megaloblasticに移行し,11例中4例に経験した.さらに大きな問題は栄養管理である,患者は生存していても,元気がなく,ダンピングの有無にかかわらず食餌で悩まされる.
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