Japanese
English
今月の主題 胃の隆起性病変(polypoid lesion)―その形態と経過
序説
「胃の隆起性病変(polypoid lesion)」企画に当たって
Editorial
芦澤 眞六
1
S. Ashizawa
1
1東京医科大学内科
pp.373
発行日 1982年4月25日
Published Date 1982/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403108835
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
胃内に隆起する病変としては,過形成性ポリープ,いわゆる異型上皮巣(境界領域病変),疣状びらん(gastritis verrucosa),Ⅰ型あるいはⅡa型早期癌,Borrmann 1型および2型進行癌,カルチノイド,好酸球性肉芽腫,各種の粘膜下腫瘍など多くのものがみられる.これらをすべてpolypoid lesionと総括してよいのか?polypoidというと,従来われわれの頭の中にあるpolypという概念がひっかかるので,むしろelevated lesionとしたほうがよいのではないか?という意見が聞かれる.しかし,これは早期胃癌の分類と同じようにわが国で生まれた言葉であり,しばらくは隆起性病変イコールpolypoid lesionと了解してゆくべきであろう.表題にわざわざ括弧を付けてこの言葉を入れたのも,このことを理解してもらいたかったからでもある.
しかしそれにしては,本号の内容が過形成性ポリープといわゆる異型上皮巣(境界領域病変)とに重点が置かれすぎているとの御批判もあろう.企画に際してもその点はいろいろと議論されたが,とにかく今回は診断よりもむしろ経過に重点を置いて,きめ細かく,確実にfollow upできた例をたくさん集め,そこからある病変の病態生理学的な解明に迫ろうということになった.そうなると,現状では症例のたくさん集まっているのは前述の2病変,すなわち過形成性ポリープと隆起性異型上皮巣ということになる.
Copyright © 1982, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.