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これからここに述べる話は,本質的にはX線診断の話ではない.内視鏡診断にも標本の肉眼的診断にも共通した話なのであるが,一つの例としてX線診断を中心として述べることとする.
A医師がX線診断で潰瘍を見つけた.そして良性潰瘍であろうと診断した,同じ潰瘍のX線写真をみてB医師はこれは悪性すなわち癌であると診断して,激しい討論を行なった.B医師は,潰瘍の形といい大きさとか周辺の盛り上りなどは癌とするに充分な所見であると力説するに反し,A医師は,それらの所見はどれも良性胃潰瘍にしばしばみられる所見であり,それらの所見だけをもって悪性とすることはできないから良性と言わざるをえない,と主張して譲らなかった.手術して,その切除標本を肉眼的にみると,いわゆる典型的な円形の消化性潰瘍であり,A医師は診断が当ったことを喜んだ.しかし,その後組織学的に検査すると,肉眼的観察では全くわからない程度のごく小さい癌が潰瘍縁にあることがわかった.いわば純粋なⅢ型といえるような早期癌であったわけである.するとこんどは,B医師が,自分の診断が本当は正しかったのだ,といって小踊りして喜んでしまった.果して,どちらが正しかったのであろうか.これが問題提起である.
The recognition of five categories of ulcers is proposed as arising out of the differential diagnosis between benign and malignant ulcers. Each category is explained with several examples comparing x-ray films and macroscopical figures of the resected specimens. The same categories are also applicable to diagnosis with endoscopy. The necessity of therapeutic diagnosis in each category is discussed.
The necessity of these categories in the differential diagnosis and the effectiveness of this application are explaned in detail with examples.
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