Japanese
English
今月の主題 腸の潰瘍性病変
主題
腸の潰瘍性病変のX線診断
X-ray Diagnosis of Ulcerative Disease of the Intestine
山田 達哉
1
,
堀越 寛
1
,
土井 偉誉
1
,
笹川 道三
1
,
松江 寛人
1
,
山本 鼎
1
,
木下 昭雄
1
,
牛尾 恭輔
1
,
萩原 健一
1
,
古賀 俊彦
1
,
市川 平三郎
1
T. Yamada
1
1国立がんセンター
pp.1605-1614
発行日 1972年12月25日
Published Date 1972/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403108984
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胃のX線診断学は,本邦においては,近年著るしい進歩を遂げている.その結果,多数の早期胃癌が,日常の診療時に容易に発見されるようになってきた.しかし腸のX線診断に関しては,胃の場合のような進歩は,いまだ見られていないように思われる.もちろん腸といっても,小腸と大腸とではかなりようすが異なる.
大腸に関しては,最近,早期大腸癌のX線診断が話題になりつつある.従来はX線で診断された大腸癌のほとんどが進行癌であったことから考えると,大腸のX線診断は進歩しつつあるといってよいであろう.大腸のX線検査法も注腸法からFischerの二重造影法へ,ついでWelinの二重造影法,さらに最近では,Brownの直接二重造影法が広く行なわれつつある.二重造影法によって,胃の場合と同様に腸粘膜の微細所見を,比較的容易にX線像として描写することが可能になってきた.その結果,大腸癌の早期X線診断が,徐徐にではあるがなされつつあるのが現状である.従って,胃のX線診断で見られたのと同様な進歩が,大腸のX線診断で実現する日も近いように思われる.しかしながら,小腸に関しては,本邦に小腸疾患が少ないこと,小腸そのものが著るしく長く,X線検査が繁雑であること,胃や大腸のように二重造影法を実施することは,一般にはなかなか困難なことなど,様々な悪条件があるために現状では残念ながらX線診断上で進歩らしいものが見られていないというのが実状であろう.
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