技術解説
Hampton法
青山 大三
1
1杏林大学医学部放射線科
pp.1197-1199
発行日 1971年8月25日
Published Date 1971/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403111639
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胃腸のレ線撮影の技術について,欧米の文献をみると撮影技術をはじめて発表した人の姓に方法をつけて「何々法」としたものがある.これは読者にとって一見きわめて迷惑であるが,ある程度撮影技術にマスターした人にとっては便利なことが多い.たとえば,何々位で,どのようにして撮影した像というのを一言にして「何々法」とかけばすぐわかるわけである.
一方,撮影技術に姓名を用いることに抵抗を示す人もあることは事実である.これはある病名を発見または最初に発表した人の名をとって「何々氏病」または「何々症候群」として一般に用いられていることはしばしばである.これを人名を略して記載すると,人名よりは長い病名となって複雑になってくる.これと同様な意味で撮影方法について用いられてきている.しかし,現在の日本で第一線の極めてすぐれた胃レ線診断医の撮影したレ線像では,その撮影技術が極めて微妙になってきており,なかには数十枚とって良い写真は1~2枚しかないとされていることが多い.それでも,撮影者は不満がある.それくらいすぐれた撮影者の良心はきびしいといいうる.「何々氏病」といっても,典型的なものから,亜型まであり,どこで一線をひくかということも簡単にはきめがたいこともある.このことと同様に考えて,「何何法」といっても現在の日本の高度のレベルではその方法に大きな幅があって,どのような像がその病巣の描写にもっとも適当であるかはそのレ線診断医の良心によるものであり,とくに複数の病巣や単数の病巣の質的判断を要求されるときは数枚の像を必要とすることは当然である.
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