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書評「医用サーモグラフィ図譜」
大島 正光
1
1東京大学医学部医用電子研究施設
pp.1746
発行日 1971年12月25日
Published Date 1971/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403111428
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最近の医学の分野における計測法の発展の中で注目されているものの一つにサーモグラフィがある.“Optoelectronics”に属するこの新らしい計測法は,これまでの生体の温度についての考え方を大きく変換させてしまったといっても過言ではなかろうと思われる.温度分布が画像としてX線像のように,また最近は色の分布として認めることができ,しかもそれが遠隔で短時間内にキャッチできるところにこの方法の特徴があるといってもよいであろう.研究会の代表である渥美和彦教授はその序文の中で,研究会が数年にわたりとった約4,000枚のサーモグラムの中から代表的なものを選んでこの図譜をつくりあげたと述べている.サーモグラフィの初期の開拓を行なってきたこの研究会のメンバーの努力が,ここにみのったものであるといってよいであろう.この図譜はつぎの内容から成り立っている.
序論としては,Ⅰ.はじめに,Ⅱ.原理と装置,Ⅲ.撮像時の注意,から成り,正常人のサーモグラムとしては,Ⅰ.正常人の身体各部のサーモグラム,Ⅱ.正常人の種々の条件下でのサーモグラムであり,各種疾患例のサーモグラムとしては,Ⅰ.妊娠時のサーモグラム,Ⅱ腫瘍のサーモグラム,Ⅲ.脈管疾患のサーモグラム,Ⅳ.炎症性疾患のサーモグラム,Ⅴ.神経系疾患のサーモグラム,Ⅵ.リウマチ性疾患のサーモグラム.Ⅶ.その他,となっている.この内容からもわかるようにサーモグラフィの主な臨床的応用の分野はこの図譜の内容の示すような領域であるといってもよいであろう.しかしこの応用の領域は今後ますます拡大されてゆくものと考えられる.
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