一頁講座
大腸癌の鑑別診断(2)―再発した胃癌の横行結腸への浸潤像
丸山 雅一
1
1癌研究会附属病院内科
pp.1368
発行日 1970年10月25日
Published Date 1970/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403111261
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患者は39歳の男性である.BorrmannIV型の進行胃癌のために胃全剔手術を受けて6カ月に撮影した大腸X線写真が図1,2である.手術時には,リンパ腺転移が19個中10個に認められた.手術後,4カ月頃から高度の心窩部痛が出現したという.手術の5カ月後に来院したときには,心窩部に硬い鶏卵大の腫瘤を触れ,ダグラス窩にも転移が認められた.さらに1カ月後に大腸のX線検査をおこなった.
図1のように,充えい像では,横行結腸の中部よりやや肝彎曲部よりに,両側性の陰影欠損があり,比較的狭窄を呈している.図2の二重造影像では,同じ部位の伸展性がわるく,とくに,その上縁は陥凹して,ささくれだった所見がみられる.また,粘膜ひだがこの部では密に錯走している.透視では,腫瘤の位置は,この部に一致していた.このような所見は,前回同様,癌が漿膜面から浸潤したものと考えるべきである.この症例では,術後の再発像としてあらわれたのであるが,同じような所見は,進行した胃癌ではよくあるわけであるから,手術する前には大腸のX線検査も必ずやっておくべきである.
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