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書評「Atlas der Laparoskopie」
中尾 功
1
1癌研究会附属病院内科
pp.630
発行日 1969年5月25日
Published Date 1969/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403111077
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医師にとって臓器を直接観察し,しかもその組織学的所見までも,簡単に調べることが出来たらということは一つの大きな楽しい夢であろう.そんな希望を託して腹腔鏡が考案され,本邦に導入されてからも既に久しい.その方法の安全性,侵襲の少ないことなどが歓迎されて,最近では普通の病院でも簡単に施行するようになり,数多くの業績が蓄積されてきている.しかし,腹腔内臓器の肉眼的所見の多様性,あるいは生検組織像との不一致などから,多くの術者が判断に困惑することが可成り多い.そんな時に出版されたこのBeckの図譜は特に垂涎の書といっても過言ではないと思う.彼の豊富な経験例から380葉におよぶカラー図版を適確に分類して,素晴らしい印刷にして見せて呉れる.写真の鮮明さ,色彩の再現性の良さは抜群であり特筆に値する.
本書の内容は,始めに腹腔鏡施行に際しての概略が簡潔に記されており,次に胆,肝,黄疸の鑑別,門脈圧亢進症,脾,胃腸管,後腹膜,女子生殖器の順になっている.各項目について,先ず総括的な解説があり次に各図譜について説明が対比して記載してある.
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