技術解説
胃上部撮影法(V-A型胃力メラによる)
斎藤 利彦
1
1東京医科大学内科
pp.123-127
発行日 1969年1月25日
Published Date 1969/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403110912
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Ⅰ.はじめに
1950年本邦で胃カメラが試作されて以来,現在迄たえず器械の改良・工夫がなされ,胃疾患の診断上欠くことのできないものの一つであることは,周知の事実である.しかしながら,いまだ未解決の問題も多く,その一つとして当教室では唯一回の挿入で胃内を広範囲に撮影し,盲点部位をなくすと言う考えから,1961年にV型を改良した試作V-A型を臨床に応用していた.その利点として大彎側,噴門部周辺,穹窿部,胃体上部後壁及び胃前庭部小彎側の粘膜像を容易に得られるようになったが,しかしその反面,操作の複雑性,器械による接続部の撓み,傾きによるレンズ方向のずれを生ずることもわかり,これらの欠点をなくす目的で現在のV-A型が一応完成され広く臨床に応用されている.即ちV型よりも接続部を15cm長くし,従来の関節部をなくし,その代りに先端レンズより約10cm手前で屈曲度が120度に近いUp及びDownが得られるようにし,反転操作も容易で,Up及びDownを適当に組み合せることにより胃内の目的とする部位の撮影が容易となった.当教室では現在このV-A型を主に内視鏡検査に用い,従来の盲点部位を含めた胃内広範囲撮影をルーチンとして行ない,病変の存在診断のみならず質的診断にも役立たせている現状である.胃上部撮影法は他の内視鏡によっても撮影可能であるが本稿では特にV-A型にょる胃上部の撮影法について若干の考察を加えながら述べてみたい.
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