Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- サイト内被引用 Cited by
1.圧迫法の有用性
圧迫法とはバリウムを服用させ,圧迫筒により病変を押し出して撮影する方法である.圧迫法を行う時期は,病変を発見するうえで極めて重要である.われわれの関連施設である愛知県総合保健センターでの圧迫法に関する成績を呈示する1).本施設は人間ドックを1日約90名,1年で約2万名の胃X線検査を行っており,最近4年間での癌発見率は0.23%,早期胃癌はそのうち約80%を占めている.撮影順序は粘膜像は撮影せず,圧迫像を初めに撮影し,次に充盈像,最後に二重造影像を撮影し,更に圧迫像をもう一度撮影することもある.
Table 1は同施設の集検で発見され,圧迫法・二重造影法・充盈法の3法が可能な体下部から前庭部の早期胃癌87例93病変,進行胃癌20例20病変について各撮影法ごとに病変を指摘できるかどうかをみている.進行胃癌は充盈像でやや悪いが,圧迫像と二重造影像により全病変を指摘している。一方,早期胃癌93病変では圧迫像80.6%,二重造影像67.7%,充盈像17.2%と,圧迫像により最も多く病変を指摘している,しかも,圧迫法だけで病変を拾い上げたのは21.5%である.この値は肥満などにより圧迫法が行えなかった7例7病変を含んでおり,その病変を除くと圧迫法による病変の指摘率は更に高率になると考えられる.次に,これらのうち検討が可能な進行胃癌20例,早期胃癌76例について,検査時に検者が病変に気付いた時期を撮影法順にみると(Table 2),進行胃癌では最初に撮影する圧迫像で既に全例の病変に気付いている.一方,早期胃癌では最初の圧迫像で既に80.3%の病変に気付いている.先の検討と同様に,この例のうちには圧迫法ができない7例を含んでおり,その例を除くと本法による病変の拾い上げ率は更に高率になり,本法の有用性が示唆される.
Copyright © 1990, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.