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北から南から,つぎつぎと胃腸研究会のもようが生き生きと本誌に報告されてきました.岡山県のこういった研究会について老えてみますと,いささか全国の研究会となりたちが違っております.岡山県の研究会は,県下の胃集団検診が始まったのを契機とし県の衛生部,医師会,集検にたずさわっている医師,そして岡大第一内科,第一外科の協力で研究会が始まりました.昭和38年より岡山県下の胃集団検診が行なわれるようになりましたが,その際精密検診を実施する医師として,胃レ線,胃内視鏡の診断能力をお互いに勉強してレベルアップしようではないかと,お互いに期せずして集まり,集検フィルム,精検フィルム,胃カメラフィルムの読影会を始めたのが最初です.当時,会の運営は第一内科の小坂教授,草加先生に随分お世話になりました.集検間接フィルムを読む会とでもいいましようか,週一回,集団検診を行なっている医療施設の先生方が集まってこられました,そのうちに,県の胃集検運営委員会―これは県衛生部,医師会,岡大医学部で構成されていますが―,に参加している県衛生部のお世話で一昨年から,岡山市の県医師会ホールで毎月第三水曜日午後4時から6時まで胃集検間接レントゲン診断に関係のある医師達の間で胃間接レントゲンから精検までの研究会がもたれるようになりました.間接レントゲンフィルムをどう読み,間接レントゲンで出ている所見が,直接レントゲンフィルムでどう表現され,それが内視鏡でどういう像であったか,さらに切除胃の肉眼像,組織像まで提示され,忌憚ない意見が交換されます.しばしば6時をすぎてしまいますが,いそぎ夕食をすませたのち,7時から,今度は医師会主催の胃精検研究会が同じ所で始まります.これには間接フィルムを読む会に集まった先生は勿論,胃精検を担当している先生方が参加されます.ここで一寸と,岡山県の胃精密検診委嘱施設について紹介します.胃集検でチェックされた患者さんの胃の精密検診を正しく行なう以上,一定の施設と医師の能力が必要なことは申すまでもありません.岡山県では県医師会,県衛生部,岡大医学部が適当であると認めた医療施設を胃集検の胃精密検査施設として医師会長が委嘱し集検でチェックされた患者の精密検査を行なってもらっております.現在,県下に53の施設があり,この施設の精検担当医は岡山県下の冒精検能力向上を目的に研究会の出席を義務付けられています.研究会の名称は胃精検研究会といかめしい名ですが,全国でみられる早期胃癌研究会の雰囲気と少しも変りません.症例は県下の病院からまわりもちで次々と提示され,草加先生の司会の下で,きびしい,遠慮のない意見の交換が行なわれます.時には,同じ施設内の先生達で違った意見が出てきたりします.症例の病理組織学的な結論は倉敷中央病院の高柳先生や川崎病院の中川先生,岡大第一外科にお願いしてきました.
県北部は地理的な関係で岡山市に遠いので県北の中心,津山市にある津山保健センターで美作地区の胃精検研究会が毎月第4水曜日に開かれております.初めは講演会の形式で始めようということで青山大三,山田達哉先生達のお話をうかがってきました.本月で8回目になります.夏には,夏の研究会が県下の胃精密検診施設担当医を中心に二日間に亘り岡山で開かれています.この研究会は講習会の形式で,これまでに講師として,村上忠重,有賀槐三,城所仂,崎田隆夫,高橋淳,白壁彦夫,市川平三郎,西沢護,平山雄,横山富雄らの諸先生が御来岡下されました.そして,診断の尖端の話を承り,本では会得できない診断のこつを生き生きと聞き,質疑応答に接することができ,大いに県下の医師は勉強して参りました.
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