--------------------
書評「胃腸疾患患者の看護―病態生理から生活指導まで」
芦沢 真六
1
1東京医大
pp.1506
発行日 1968年11月25日
Published Date 1968/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403110657
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
看護婦,看護学生を主たる対象として書かれた本は今迄少なく,ときに胃腸疾患についての講義を依頼される時など2,3の書を見ても.内容が簡単すぎたり,またあまりに古すぎたりということで,これはと推せんできるようなものが出版されないものかとかねてから考えていた.
たまたま本書を開いてみると,巻頭の別図にわが国でつくられ,わが国で発達し,いま世界にも広がりつつある胃カメラの美麗なカラー写真が適確なシェーマと共に取り入れられついで第1の解剖,生理の項にはガストリン,第2の病態生理の項では胃全摘後の病態生理とそれに対する対策,そして第3の診断に必要な検査と看護婦の役割の項では,新しい胃液検査としてのヒスタローグ法,エックス線検査での病変が描写される理屈や,また生検,細胞診についても,わかりやすくその意義や方法などが説明されており,これらの新しいことをも取り入れた前半を通読することにより,たくさんある胃腸疾患の検査がいかなる理由で,どういうことを目的として行なわれるものであるかが理解されよう.検査に際してただ誰かに言われるままに理由も知らずに機械的に行なうのと,なぜということを知って行なうのとではたいへんな違いであり,そこに今後の進歩も期待されることになる.
Copyright © 1968, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.