今月の主題 胃微細病変の診断
綜説
早期胃癌の肉眼診断と病理
高木 国夫
1
1癌研究会付属病院外科
pp.471-483
発行日 1967年4月25日
Published Date 1967/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403110505
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Ⅰ.はじめに
近年胃疾患の診断技術のめざましい進歩によって,早期胃癌が数多く報告されて,詳細な検討がなされている.早期胃癌として,癌が粘膜下層までに止まるものであって,癌のひろがりは問わないことにしている.早期胃癌の中には,ひろがりからいうと,直径1cm以下の顕微鏡的大きさから直径10cmにまで達するものが含まれている.現在の診断技術の上からは,早期胃癌が3~4cmにひろがったものの診断は,充分確かめられてきている.しかし直径2cm以下の早期癌に対する診断は困難な場合が少なくない.
とくに表面型早期癌に対する診断も直径1cm前後の小病変には,肉眼的単位の診断学も良性悪性の質的診断の上では,困難になってきている.細胞診,生検による顕微鏡的単位による診断学に変りつつある.微細病変として扱かう早期胃癌の診断学も病変の存在診断と質的診断の両者が必要である.
1966年秋第4回内視鏡学会シンポジウム(広島)に胃壁微細病変の診断およびその限界がとりあげられ,早期胃癌の部門では,直径2cm以下の症例について検討された.
微細病変としての早期癌,とくに直径1.5cm以下の表面型早期癌の診断経過とともに,病理面より検討してみたい.
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