Coffee Break
「早期胃癌1993」の早期胃癌肉眼分類典型例をみて(4)
髙木 國夫
1
1林外科病院
pp.409-410
発行日 1994年4月25日
Published Date 1994/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403105771
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「早期胃癌1993」に提示された早期胃癌典型例に関して,前号まで3号にわたり,種々の問題点を指摘したが,今月は〔Case9~11〕について検討したい.
〔Case 9〕Ⅲ型の貴重な症例であるが,癌の拡がりの記載が混乱している.固定標本の切り出し図の記載では,Ⅲの潰瘍の幽門側に癌があり,口側には潰瘍の前壁縁にのみ癌を認め,他の部位では癌はないとされているが,その下の割面像の組織所見で,大きな潰瘍の口側にわずかな癌の存在を矢印で示している.この癌の存在を切り出し図に示すことが最も重要なのである.この割面像が切り出し図のどこに当たるかをみると,割面像の潰瘍の大きさ2cm,潰瘍の口側縁から切除断端まで3cmであって,この関係の当てはまる切片は,切り出し図の潰瘍前壁縁の切片から4番目に相当し,おそらく,Ⅲの口側にはほぼ全周性に癌が認められるであろう.
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