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今月の主題 早期大腸癌の組織診断―諸問題は解決されたか
特集:早期大腸癌の組織診断基準―諸問題は解決されたか
Case Presentation of Early Colorectal Carcinoma and Its Pathological Diagnosis by Leading Pathologists
石黒 信吾
1
,
岩下 明徳
2
,
加藤 洋
3
,
小池 盛雄
4
,
下田 忠和
5
,
中村 恭一
6
,
八尾 隆史
7
,
渡辺 英伸
8
Hidenobu Watanabe
8
1大販府立成人病センター・病理
2福岡大学筑紫病院・病理
3癌研究会癌研究所・病理
4東京都立駒込病院・病理
5国立がんセンター中央病院・臨床検査部
6東京医科歯科大学・病理
7九州大学・第2病理
8新潟大学・第1病理
pp.1435-1476
発行日 1998年10月25日
Published Date 1998/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403103841
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1992年に,本誌「胃と腸」の6月号で,「早期大腸癌の病理組織診断基準-その差はどこにあるのか」が特集された.当時の診断者は石黒,岩下,加藤,喜納,小池,下田,中村,渡辺の8名であった.今回の特集を行うにあたって,喜納勇教授が亡くなられたことが非常に残念である.先生に深い哀悼の意をささげたい.1992年の時点で,消化管を専門とする日本の病理医の間で,少なくとも3つ(危険率1%以下の有意水準で),ないし4つ(危険率5%以下の有意水準で)の診断基準が存在していた。その差が生ずる大きな原因は,癌の診断基準として,構造異型度に重点が置かれているか,細胞異型度に重点が置かれているか,であった.
各自の組織診断基準はヘマトキシリン・エオジン標本の詳細な分析ばかりでなく,経過観察例を経験すること,分子生物学的分析を行うこと,などで変化している可能性がある.また,1992年以降,病理医の間でも組織診断基準の統一を図る努力が各種研究会や班研究を通じて行われてきた.はたして,6年が経過した現在,組織診断基準の差は解消されたのであろうか.
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