Coffee Break
電子内視鏡から「胃と腸」の使命を思う
竹本 忠良
1
1山口大学第1内科
pp.547
発行日 1985年5月25日
Published Date 1985/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403109848
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内橋克人の「幻想の『技術一流国』ニッポン」(新潮文庫)に,「リスク高く,道のりの遠い『基礎研究』は欧米に任せ,自らはその成果のみ鵜の目鷹の目で探し回った.西にモノになりそうな技術あり,とみれば羽音高く飛んでいって,口についばんで持ち帰り,自社の開発技術者たちの前に投げてみる.たちまち『応用研究』,『開発研究』が開始される」(ママ)という高度成長期の口本の技術開発の姿勢が指摘されている.われわれ臨床研究者にも,たいへん痛烈な言葉である.文献の渉猟の目は,なにかNeuesはないかと「鵜の目鷹の目」である.
電子内視鏡(electronic endoscope)の開発において,超LSI王国といばっている日本が,その技術を内視鏡の世界にもってこれなかった学際的視野の狭さを,このたびも思い知らされた.だから,このところ憂麿である.H2プロッカーの開発でも,いかんなく日本の開発技術の後進性,創造性のなさが示されているが,電子内視鏡でもすぐ「追いつけ」,「追いこせ」が始まるだろう.そして,またたく間に,より優れたものに改良されるだろうと思っている.
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