Japanese
English
今月の主題 胃診断学20年の歩みと展望―早期胃癌を中心として
序説
胃診断学20年の歩みと展望―論争し,協調し,確かな歩みを願う
Introduction
芦澤 眞六
1
Shinroku Ashizawa
1
1東京医科大学内科
pp.11
発行日 1985年1月25日
Published Date 1985/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403109638
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- Abstract 文献概要
昭和41年4月に誕生した本誌の創刊の辞は村上忠重教授によるものであるが,その冒頭に,わが国では消化器病学の専門誌が育たないというジンクスがあると述べられている.それから既に20年の歳月が流れようとしているが,本誌は年を経るに従って大きく育ってきた.当初,編集の中核は当時わが国で非常な進歩を遂げつつあった早期胃癌に置き,順次良性病変へ,更には腸,胆,膵へと拡げていこう,そして本誌を読んでさえいれば,この方面の第一線の仕事と技術に遅れることがないようにしたいと願ったのであるが,幸いに多くの人々の共感を得て,このように発展の一途を辿ってきたのだと思う.
本誌の果たした役割として,私にとってまず嬉しいことは,多くの施設で多くの人によって,その気になりさえすれば,早期癌(胃と限らず消化管すべてについて)の発見が容易となってきたことである.つい20年前までは,その多くが死に至る病であり,早期発見,早期切除とただ念仏のように唱えていた消化管の癌も,治すためには,どうやって,どのようなものを見付けるかが明らかになってきたのである.そしてもう1つ,早期癌に対する情熱が他の良性病変(潰瘍,ポリープ,炎症性疾患など)の病態解明への進歩をもたらしてくれたことである.
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