Coffee Break
膵癌早期発見のきっかけ (6)
高木 国夫
1
1癌研病院外科
pp.758
発行日 1983年7月25日
Published Date 1983/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403109484
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膵癌そのものと共に,癌による二次的膵炎が日常最も多く行われている胃X線ならびに内視鏡所見に反映し,胃外性圧排像としてチェックしうることを前回書きました.
膵の異常をチェックするのに従来はERCP,血管造影,最近では超音波,CTでないと不可能であろうと考えられていました.アミラーゼ高値と同様,燈台下暗しの譬のごとく,全く身近な所に,膵の異常をチェックするものがあったわけです.このことは非常に重要なことであって,わが国で最も多い胃癌に対してまず胃X線ならびに内視鏡検査が行われますが,胃内病変の有無については,真剣に検討され,早期胃癌が続々と発見されてきています.胃生検の加わった現今では,異常病変がたとえ直径5mm以下であっても,的確な胃生検によって術前確実に診断されています.このように胃内病変に対しては,微細な変化に対しても神経質すぎるくらいに注意が向けられていますが,胃の外からの影響については,案外無関心であったといって過言ではありません.実際,胃体部小彎の胃外性圧排像を示す胃X線写真を研究会で供覧しても,この所見を見逃したり,たとえこの所見を指摘しても大した意義を与えずに済ますことが多いことを経験しています.
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