今月の主題 大腸sm癌
主題症例をみて
大腸隆起性病変の形状診断と深達度診断
山田 達哉
1
1国立がんセンター放射線診断部
pp.856
発行日 1983年8月25日
Published Date 1983/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403109440
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大腸sm癌の特集に各施設から寄せられた貴重な症例を,主にX線診断の立場から見せてもらった.率直な印象として,大腸の隆起性病変についての形状診断と深達度診断が不十分であるように思われた.過去の試行錯誤の時代の症例だったり,紙面の制約があるためと思われるが,かつての胃隆起性病変の診断の場合に比べ,大腸早期癌の診断にはなお検討の余地が残されているように思われる.
ところで,大腸では胃の場合に比べて,有茎性病変でもかなり癌であることが多く,また有茎性の大腸早期癌ではm癌かsm癌かの深達度診断は不可能であることは周知のとおりで,筆者も同じ見解である.しかし,有茎性でない大腸の隆起性病変の場合には,形状診断にもっと力を注ぐべきであろう.呈示された症例をみて気にかかることは,亜有茎と診断されている例が意外に多いことである.X線写真が載っている25例中,10例は亜有茎と記述されている.本来,亜有茎という用語はあいまいさが残る用語であり,幾つかの例では,くびれがあれば亜有茎とされている.しかし,くびれと茎とは形態的には異なるはずである.両者は厳格に区別されるべきであろう.両者は“頭を振る現象”の有無で鑑別できる.すなわち,この現象は茎があってはじめて生じるもので,単なるくびれがある病変ではみられない.また,この“頭を振る現象”をみるには,体位変換をしたり,バリウムを移動させて,頭部の動きの有無をみればよい.
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