今月の主題 大腸sm癌
主題症例
B 内視鏡的ポリペクトミー後に腸切除した例
6.完全生検により癌浸潤を確認し腸切除を行った大腸癌の1例
長浜 徴
1
,
古屋 平和
1
,
城所 仂
1
1順天堂大学医学部第1外科
pp.816-817
発行日 1983年8月25日
Published Date 1983/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403109395
- 有料閲覧
- 文献概要
〔症例〕51歳,男性.下血と便通異常を主訴とし某医を受診.S状結腸の隆起性病変を指摘され,ポリペクトミー目的にて当科を紹介され来院した.注腸X線像では口側S状結腸に径約1cm大の亜有茎性ポリープを認めるがX線像では良悪性は判然としない(Fig. 1).内視鏡像(Fig. 2)では同様に亜有茎性のポリープであるが表面に多少の凹凸不整を認め,また色調の変化などより悪性も示唆されたが,完全生検の意味を含めて1976年3月5日経内視鏡的ポリペクトミーを施行した.
ポリープは1.3×1.0cm大で,Fig. 3はそのルーペ像,Fig. 5は切除断端部の拡大像である.Fig. 4に示すように,腺腫の部分は切除断端の周囲にわずかに認めるのみで,ポリープのほとんどは癌組織であり,ly(-)v(-)であったが,癌は既にsmまで深く浸潤し,かつFig. 5にみられるように切除断端から1mmしか離れていず,癌の残存ならびにリンパ節転移の可能性も否定できない.したがってこの1カ月後にR2のS状結腸の追加部分切除を行った.Fig. 6はその切除標本で,矢印がポリペクトミーの跡である.肉眼的にはわずかな瘢痕を認めるだけで,病理組織学的検索でも癌の残存やリンパ節転移も認められなかった.
Copyright © 1983, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.