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編集後記
並木 正義
pp.1132
発行日 1983年10月25日
Published Date 1983/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403109327
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話題の中心はやはり早期胆囊癌をいかにして診断するかであった.これについて超音波診断をはじめとする画像診断法,胆囊二重造影法,更に経皮経肝胆囊鏡検査法,また超音波誘導下胆囊穿刺法により採取した胆汁の細胞診など,いろいろな方法が試みられている.まさに涙ぐましい努力である.一方,発生母地の特異性を含めて胆囊癌の病理学的研究もかなり進みつつある.しかし,なんといっても胆囊癌の早期発見は難しく,手ごわい.現在行われている,また試みられつつある診断法にしても自ずから限界と問題点がある.しかし,目的を達するにはそれをわきまえたうえで1例1例貴重な経験を積み重ね,工夫をこらし,考えを深めていくしかないであろう.
現在のところ,早期胆囊癌の発見には,胆囊の隆起性病変をどのようにして見出すかにかかっているとして,画像診断法その他が用いられているが,しかし,隆起性変化を示さない早期胆囊癌もあるわけで,それらの診断をどうするかが,今後の課題となろう.その意味では中澤氏の積極的な診断法の将来に期待したい.それにしても編集を終えて感じたことは,早期胆囊癌の診断もここまできたかという思いと,なお道は遠いな,という印象であった.
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