Japanese
English
今月の主題 悪性サイクル
主題
悪性サイクルについて
Malignant Cycle
望月 孝規
1
Takanori Mochizuki
1
1虎ノ門病院病理学科
pp.575-578
発行日 1972年5月25日
Published Date 1972/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403109101
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わが国に於て,早期胃癌という概念についての規約がなされて以来,個々の症例についての放射線,胃カメラ,内視鏡などによる診断,手術,切除胃の形態学的検索が,従来よりも正確に行なわれるようになり,またそういう症例を,種々の部門の医師が一緒に検討する機会も多くなった.この過程の中で,胃癌の発生と進展について,多くの新しい所見や考え方が明らかにされた.中でも多数の症例を蒐集しての集計的な資料に止まらず,それらにもとずいての綜合的な考え方が生れて来ていることは,わが国の早期胃癌研究の誇るべき成果といえよう.これらの考え方のうち最も重要なものの一つは,村上によって提唱された悪性サイクルという概念と模式図である.
以下,この概念と模式図が成立するまでの,わが国に於ける胃潰瘍および胃癌の研究の歴史について簡単に述べ,この概念と模式図の問題点について,論じようとおもう.
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