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書評「電子顕微鏡による細胞組織図譜 第6巻 腫瘍」
小林 登
1
1東京大学医学部小児科
pp.82
発行日 1972年1月25日
Published Date 1972/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403108976
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電子顕微鏡を用いて細胞の微細構造の変化を追求することは,現在では臨床医学の分野でも広く研究に利用されている.臨床医学における研究者は,長く生体の生化学に深い関心をもってきたが,分子生物学や細胞生物学の進歩とあいまって,今や生化学的な所見を細胞形態学とむすびつけなければならない.そのような立場で,臨床医学にも電子顕微鏡という方法論が急速に発展してきたと考えられる.
このたび医学書院から,東京大学病理学教室太田邦夫教授の編集によって「電子顕微鏡による細胞組織図譜」第6巻「腫瘍」が出版されたことは,腫瘍学に関係する臨床医としてよろこびにたえない.本図譜は,東京大学解剖学教室山田教授,東京大学生理学教室内薗教授および,慶応大学病理学教室渡辺陽之輔助教授の総編集になるものであり,その第6巻は最終巻である.本図譜の目的とするところは,もちろん臨床医学に関係する研究者のみならず,電子顕微鏡を使って研究にたずさわる人々に対して標準的なテキストとすることにある.この意味で,日本の腫瘍研究の指導者である太田教授が,第6巻の編集の責をとられたことは意義深い.
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